新宿居酒屋ぶらり旅 「わたなべ」

青梅街道新宿警察署交差点近くの小道を入った先、昔はおそらく飲屋街だったと思える通りで14年、さらに違う場所を含めると35年営業している、この西新宿七丁目でも数少なくなった個人経営の酒場。

昭和風情漂う外観から想像したまま、中は地元民が何かしらの寄り合いで集まる飲み屋という感じ右手奥に厨房対面式カウンター席で、中央から左にかけてテーブル席が鎮座している。

周辺の飲食店は新宿外からの人々で賑わっているのに対し、閑散とした店内の様子から推察したとおり、やはり地元密着型酒場であることが判明

選び放題の席に腰落ち着け、先ずは飲み物からビールや焼酎などのアルコール類は一銘柄のみ。それが場の雰囲気と合っており、逆に狙っては出ない良い味になっている。

料理のメインはランチにも提供してる焼き魚。他に生姜焼きなどもあったが、一番気になったのは、ビール1本に日本酒か焼酎と料理三品で1,600円のセット。

酒1つと料理3つでこの値段なら分かるが、他店と比較しても破格の安さ一人で切り盛りしている女将さん曰く、酒2種類を出すのは採算的に厳しいが客を呼び込む為のサービスとか。

既に他の店でビールを飲んできており、設定価格のままでビール抜きとしセットを注文するちなみにお会計時には百円値引きしてくれました

飲み物は日本酒を選択お店で扱っているのは、兵庫県神戸市の菊正宗酒造「菊正宗 辛口」(写真左)これを常温のままいただく。

辛口日本酒の代表とも言える「菊正宗 辛口」は、味のシャープさと後口のキレの良さがハッキリした一杯全体的にスッキリしているので、呑み進めても後半の飽きが来ない。

料理の一品目は「枝豆豆腐」。おそらく市販品ながら、ネットリした食感と枝豆風味のよさが、これから続く宴の開始としては丁度良い軽さとなっている。

続く二品目は「キュウリ」(写真中央)オーソドックスに味噌をつけて食べる。

ポリポリとした歯ごたえに爽やかな生野菜の清涼感。それに馴染みある味噌の塩加減が、平凡だからこそ食べ飽きない美味しさ再認識させてくれる。

残った味噌を肴に日本酒を飲むのも一興。なにげにコレが一番のアテだったりする

最後は「カジキマグロの煮物」(写真右)ちなみに料理は仕入れの関係などで変わるとのこと。

あっさりと醤油で煮付けたカジキマグロは、脂のノリも良く、なにより身に旨味がある。

味付けもシンプルながら塩梅もよく、そのため素材の味が引き出されることで、辛口の「菊正宗」との相性も抜群になっているこれは酒が進む

常連さん達には会わなかったが、一人で飲んでいても地元住民に愛されている酒場であることがヒシヒシと伝わってくる店だった

西新宿七丁目では新しい店が増えていく中で、こうした昭和風情のある昔ながらの居酒屋は貴重